CO2をたくさん吸収する作物が栽培され、資源として回収・変換していく将来イメージ

PROJECT

プロジェクト概要

温室効果ガス削減のため新たな脱炭素技術の開発が進められています。その基盤技術の一つとして大気中の二酸化炭素(CO2)を回収する技術(DAC: Direct Air Capture)が近年注目を集めています。作物は、光合成の働きによってCO2を吸収し、その炭素をバイオマスとして固定することができます。私たちは、CO2吸収・固定能力を飛躍的に改良した作物を開発し、得られたバイオマスをエネルギーや有用物質への効率的変換に貢献する新しい農業(DAC農業)の実現を目指します。

DAC:Direct Air Capture(工業的に空気中のCO2を回収する技術用語)

RESEARCH

研究内容

課題

CO2吸収・固定能を増強した
スーパーDAC水稲の開発

・ソース能/シンク容量
・炭素利用効率
・ゲノム編集技術

課題

作物バイオマス増大による
炭素固定に関する研究

・トウモロコシ/ソルガム
・近縁野生種
・土壌炭素貯留

課題

DAC農業からの資源利用工程の
経済価値および環境負荷の評価

・ライフサイクルアセスメント(LCA)
・技術経済性評価
・バイオマス特性解析

MEMBER

プロジェクトマネジャー(PM)の抱負

作物バイオマスは、バイオ燃料やバイオプラスティックなど有価物変換における、再生可能な原料資源として注目されていますが、バイオマス生産と食料生産との両立が困難とされています。一方、ゲノム解読によって作物の遺伝子の理解は大きく進展しましたが、まだ遺伝子の機能を自由に改変し、品種改良に利用することはできていません。
近年、特定の遺伝子のみを改変するゲノム編集技術が利用可能となったことから、品種改良の新たな展開が期待され、作物生産を飛躍的に向上させる機会が得られつつあります。現在までの農業は食料生産にとって不可欠な産業でありましたが、環境に負荷を加える産業でもありました。我々が構築するDAC農業により、持続的な地球環境の保全にも貢献できる新しい農業の実現を目指します。

矢野 昌裕 農研機構 農業情報研究センター シニアエグゼクティブリサーチャー
「DAC農業」プロジェクトマネジャー
矢野 昌裕
農研機構 農業情報研究センター
シニアエグゼクティブリサーチャー

PUBLICATION

研究成果